高配当株投資戦略のパフォーマンス分析¶
分析実施日: 2025年4月19日
このセクションでは、提案した高配当株投資戦略の実際のパフォーマンスを分析します。日本市場における3つの銘柄グループの長期的なパフォーマンスを評価し、投資戦略の有効性を検証します。
分析概要¶
本分析では、2006年から2025年までの約20年間にわたる13銘柄のパフォーマンスデータを使用し、リターン、ボラティリティ、シャープレシオの観点から評価を行いました。
分析対象銘柄グループ¶
連続増配・高配当銘柄: 4205 (日本ゼオン), 8593 (三菱HCキャピタル), 8424 (芙蓉総合リース), 4206 (アイカ工業), 7164 (全国保証)
低ボラティリティ・高配当電力・公益株: 9508 (九州電力), 9513 (電源開発), 9502 (中部電力), 9503 (関西電力)
安定業績・高配当企業: 2733 (あらた), 8804 (東京建物), 2163 (アルトナー), 2498 (オリエンタルコンサルタンツHD)
全体の年次パフォーマンス¶
下表は、分析対象全銘柄の年間平均リターン、平均ボラティリティ、平均シャープレシオを示しています。
Year |
Return |
Volatility |
Sharpe_Ratio |
|---|---|---|---|
2006 |
7.41% |
31.29% |
0.43 |
2007 |
-26.08% |
32.80% |
-0.84 |
2008 |
-20.69% |
57.56% |
-0.3 |
2009 |
-7.65% |
39.82% |
-0.3 |
2010 |
5.36% |
25.91% |
-0.01 |
2011 |
-11.61% |
40.50% |
-0.39 |
2012 |
30.31% |
39.41% |
0.73 |
2013 |
54.28% |
45.43% |
1.04 |
2014 |
6.25% |
32.54% |
0.21 |
2015 |
18.58% |
33.23% |
0.48 |
2016 |
4.57% |
37.15% |
0.11 |
2017 |
47.00% |
25.24% |
1.43 |
2018 |
-15.33% |
31.98% |
-0.44 |
2019 |
20.93% |
26.73% |
0.73 |
2020 |
-7.52% |
37.63% |
-0.25 |
2021 |
10.60% |
24.31% |
0.41 |
2022 |
7.12% |
23.69% |
0.23 |
2023 |
36.48% |
24.42% |
1.38 |
2024 |
10.70% |
30.06% |
0.29 |
2025 |
-11.43% |
28.75% |
-0.39 |
グループ別のパフォーマンス分析¶
連続増配・高配当銘柄の分析¶
このグループは長期的な配当成長と株価安定性を兼ね備えた銘柄で構成されています。
連続増配・高配当銘柄の年間リターン推移¶
連続増配・高配当銘柄の年間ボラティリティ推移¶
低ボラティリティ・高配当電力・公益株の分析¶
このグループは市場変動に対する感応度が低く、安定した配当を提供する特徴があります。
低ボラティリティ・高配当電力・公益株の年間リターン推移¶
低ボラティリティ・高配当電力・公益株の年間ボラティリティ推移¶
低ボラティリティ・高配当電力・公益株の年間シャープレシオ推移¶
安定業績・高配当企業の分析¶
このグループは業績の安定性と成長性を併せ持つ企業で構成されています。
安定業績・高配当企業の年間リターン推移¶
安定業績・高配当企業の年間ボラティリティ推移¶
安定業績・高配当企業の年間シャープレシオ推移¶
2025年のパフォーマンス評価¶
2025年(最新データ)では、3グループの中で、連続増配・高配当銘柄が最も良好なシャープレシオ(-0.06)を示しました。これは市場全体が下落傾向を示す中で、相対的に下落幅が小さかったことを意味します。
2025年の平均リターン:
連続増配・高配当銘柄: -2.27%
低ボラティリティ・高配当電力・公益株: -22.10%
安定業績・高配当企業: -12.21%
2025年のトップパフォーマンス銘柄:
7164 (全国保証): リターン 42.62%
4206 (アイカ工業): リターン 1.48%
2498 (オリエンタルコンサルタンツHD): リターン 1.12%
長期パフォーマンスの傾向分析¶
2006年から2025年までの約20年間にわたる分析から、以下の長期的傾向が確認されました:
グループ別平均パフォーマンス (2006-2025)¶
連続増配・高配当銘柄:
平均年間リターン: 9.38%
平均年間ボラティリティ: 32.01%
平均シャープレシオ: 0.29
低ボラティリティ・高配当電力・公益株:
平均年間リターン: -0.39%
平均年間ボラティリティ: 28.80%
平均シャープレシオ: -0.01
安定業績・高配当企業:
平均年間リターン: 15.87%
平均年間ボラティリティ: 39.48%
平均シャープレシオ: 0.40
投資戦略への示唆¶
パフォーマンス分析の結果から、以下の投資戦略が示唆されます:
分散投資の重要性: 3つのグループは異なる市場環境で異なるパフォーマンスを示しており、グループ間での分散投資が全体的なポートフォリオの安定性に寄与します。
景気サイクルに応じた銘柄選択: 経済成長期には安定業績・高配当企業や連続増配・高配当銘柄が、市場の不確実性が高い時期には低ボラティリティの公益株が、それぞれ相対的に良好なパフォーマンスを示す傾向があります。
長期保有の有効性: いずれのグループも短期的な変動はあるものの、長期的には安定したリターンを提供する傾向があり、長期投資戦略の有効性が確認できました。
シャープレシオの優位性: 単純なリターンだけでなく、リスク調整後リターン(シャープレシオ)を最適化することで、市場の下落局面でも相対的に良好なパフォーマンスを維持できる可能性が高まります。